作品感想:映画「何者」
※ネタバレ注意
【感じたこと】
- 自分からしか見えない一部を切り取って、140文字以内でツイートする
という行為によって自分自身を間接的に肯定する主人公と感じ、主人公のする考察はつぎはぎで未完成なものと認めたくないのだと感じた。 - 主人公が日々積み上げていく嫉妬がだんだん高くなり、それが周りの人物たちの成功のたびにヒビが入って崩れていく様子が
「人が何者にもなれずにいる(自分自身や他人を認める・他人に寄り添うことができない)」という怖さを感じた。 - クライマックスで暴露されたとき、ヒロインが主人公に対し
「演劇に夢中になっている主人公を好きだった」と伝えるシーン、主人公の本当の姿を認めてくれていて救われた。 - 時間制限の中の面接で自分を表しきれずに、面接後に扉を開ける演出が好き。
【なぜそう感じたか】
- 主人公のツイートでは自分自身のことが一切書かれてなく、他人の事柄に対しての分析のみ。他人への分析をすることにより、自己肯定感を高め維持しているのだと思ったから。
- 自分すら認められなくなることで
「誰も自分の味方がいなくなる」=恐怖、孤独でつらいから。 - 気づかない間に傍で自分を見ていてくれて、主人公が本当の姿(演劇に夢中になっている姿)という自覚が生まれたから。
- 扉を開く演出で、「新たな自分になる」「殻を破る」表現になっていると思ったから。
そのままの自分を認める、無我夢中で取り組む姿そのものが「本当の自分」
そうあり続けたい、と強く心に感じた。
記事のイラストは、画像がなにもないと寂しいので有村架純さんを描いてみました。